日本農芸化学会2014年度大会開催にあたって

正木春彦

2014年度大会実行委員長 正木春彦

日本農芸化学会の2014年度大会を開催するに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

ご案内の通り、本学会の2011年度京都大会は、直前の東日本大震災のために開催が中止となり、翌年改めて京都で2012年度大会が開催されました。そして2013年度は東北の復興を印象づけた仙台大会でした。2014年度は4年ぶりに東京が担当し、3月27日(木)に新宿区の京王プラザホテルで、28日(金)~30日(日)に川崎市の明治大学生田キャンパスで開催いたします。

2012年度より、それまで大会初日に行われていた総会が大会と別に開催されるようになったため、大会初日には、各種授賞式・受賞講演会および懇親会が行われています。過去2回、受賞講演会から懇親会への移動に関して配慮がなされ、参加者に好評でしたので、今年度大会でも懇親会を、授賞式・受賞講演会と同一の会場(京王プラザホテル)で開催することにいたしました。

2日目28日からの一般講演シンポジウムは、明治大学および明大農芸化学系教員諸氏の全面的なご協力をいただいて、自然に包まれた生田キャンパスで初めて開催いたします。季節もよく、新宿や渋谷からのアプローチもよい生田の丘が、新しい科学交流の場となることを期待いたします。29日の夕刻には、参加者全員が交流できるミキサーを用意しました。

私は、生物は、すべての仕組みが物理の法則に従いながら、生き物の形をとったときの解が実に多様であることが、物理の世界にはないサイエンスとしての魅力だと思っています。ここに生き物の多様性があり、モノの多様性があり、そして各論の重要性がある。そこに真正面から向き合っているのが農芸化学であり、毎年の本学会大会における一般講演の多彩さは宝物だと思います。今回の大会のシンポジウムは、29の多彩なテーマに分かれて、おもに最終日の午後に開かれます。

農芸化学は、社会や生活の多様なニーズに向き合ってきました。29日には産学官学術交流会員会フォーラムが開かれます。3日間の昼食時には、さまざまな企業、団体のご協力によるランチョンセミナーが企画されていますが、JABEEのランチョンシンポジウムと男女共同参画に関するランチョンシンポジウムも開かれます。学会主催の男女共同参画のランチョンシンポジウムは今回が初めての催しです。

大会期間中の高校生発表会として、ジュニア農芸化学会(28日)は今年で9回目を迎えます。農芸化学は高校の理科に足場を持ちませんが、身近な生物と化学における、最も豊かな課題を提供できる学会として、次世代教育にどう関与していくか、教育会員という区分も用意された今、議論を深めていくきっかけになればと思います。なお、大会と連携しているフロンティアシンポジウムは、30日にバスで守谷市に移動しデュープレックスセミナーホテルにて31日にかけて開催されます。

以前より本学会では、おそらく教育的配慮を優先して、ほとんどの年次大会では口頭発表を基本にして参りました。35mmスライドからオーバーヘッドプロジェクターの時代を経て、京都大会でPCによる発表を全面的に導入しました。仙台大会では書画カメラが使われましたが、今大会では、情報と表現の質・量への対応と今後の動向を考え、京都大会に続いてPC/液晶プロジェクター方式で行います。大会が大規模となってもすべての発表でスムーズな準備ができ、運営側と参加者の双方で日本農芸化学会の新しいスタイルが定着することを願います。

大会の参加登録では、以前からインターネットの積極的活用を進めてきましたが、今年度は、参加登録と会費および参加費支払いの手続きが、お手許でより簡便にできるよう、システムを工夫しました。参加手続きは、参加費割引のある事前登録期限(2月10日正午)を過ぎても、大会当日以前に済ませていただくことを是非お願い申し上げます。

最後になりましたが、本大会を開催するに当たって、多くの企業・団体からご寄付、展示、ランチョンセミナー、広告掲載などのご支援をいただきましたことに対し、心から感謝申し上げます。大会を通して、新しい情報を得、新しい情報を発信し、新しい仲間を作り、ともに大いに議論し、旧交を温め、有意義な4日間を過ごしていただきますようお願い申し上げます。