日本農芸化学会2013年度大会(実行委員長 宮澤陽夫 東北大学農学研究科教授)は、2013年3月24(日)から28(木)までの5日間、江陽グランドホテルおよび東北大学川内北キャンパスを主会場として開催された。2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で、2011年度大会の口頭発表が中止となり、関係各位のご尽力により2012年度大会を京都で開催し、仙台大会は1年延期して2013度大会としての開催となった。この1年の延期の間に、大会会場となった東北大学川内北キャンパスを含む仙台市街の復旧が進み、震災復興関係者による宿泊施設の混雑も一段落したことで、ようやく大会開催を迎えることができた。大会期間中は、3月下旬としては若干寒くはあったが雪も降ることなく、大会参加者総数4,822名(登録参加者4,368名、招待者454名)、ジュニア農芸化学会招待者271名(被災地理科教育支援校8校の43名を含む)と非常に多数の方々にご参加いただいた。

大会初日の3月24日(日)は、13時より電力ホールにて2013年度の学会賞の授賞式が行われ、引き続いて学会賞(2件)、功績賞(2件)、技術賞(2件)、奨励賞(10件)の各受賞者による講演が行われた。大会初日が日曜日にも関わらず収容人員1,000名の講演会場はほぼ満席となった。その後18時30分より江陽グランドホテルの「鳳凰の間」において懇親会が開催された。本会の開催にあたり、日本酒、ビール、ワインを多数ご寄贈いただいた関係各社に厚く御礼を申し上げる。開会式にあたり鏡割りが行われ、東北各地の日本酒を集めたコーナー、宮城・東北の郷土料理コーナーなども設置され、会場は625名の参加者の懇親の活気に満ちていた。

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授賞式の様子

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懇親会での鏡割り

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懇親会での宮城大学の学生による雀踊り

25日(月)からは東北大学川内北キャンパスを会場として、一般講演発表(2197題)が行われた。事前審査後、座長による口頭発表の確認を経て一般講演演題のうち26題にトピックス賞が授与された。期間中、シンポジウム(一般公開の震災特別シンポジウム2セッションを含む公募28セッション、175講演)、実行委員会企画ランチョンシンポジウム3セッションとJABEEランチョンシンポジウム(4講演)、産学官学術交流委員会フォーラム(招待講演2題、報告発表6題、ポスター発表14題)、ランチョンセミナー(15社、17セッション)、展示(107件)、一般ミキサー、展示企業ミキサーが開催された。本会の開催にあたり、28社(組合も含む)より、多くの飲料のご寄附を頂戴した。期間中、休憩室、各種ミキサー、ジュニア農芸化学会交流会、懇親会で参加者に提供され、議論の合間の憩い、懇親・交流に大いに役立った。この場を借りて、ご支援いただいた各社の皆様に厚く御礼を申し上げる。

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一般講演会場の東北大学川内北キャンパス

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一般講演会場の様子

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産学官学術委員会フォーラムのポスター発表

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展示会場の様子

27日の夕方からは、農芸化学会の若手90名が、仙台の奥座敷の秋保温泉にある秋保リゾートホテルクレセントに移動し、Frontiersシンポジウムが開催された。8題の招待講演を中心に、夜遅くまで大いに討論・交流が行われた。翌日28日には、今回の特別企画エクスカーションとして津波被災沿岸部の閖上(ゆりあげ)・荒浜地区及び仮設住宅の視察を行った。参加者にとっては、改めて被災の甚大さを実感するとともに、農芸化学を通じた復興への貢献を考える機会となったようである。

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フロンティアシンポジウムでの被災地視察

実行委員会企画の「震災特別シンポジウム – 東日本大震災からの復旧・復興に向けた農芸化学および関連分野の取り組み」は、27日(水)の午前に第1部(4題)、午後に第2部(6題)の二部制として一般公開で開催された。被災地で開催される大会として、震災後2年目の地域の現状を報告し、農芸化学―環境バイオテクノロジーが震災復興に果たす役割について議論を深めた。高校生の研究発表会「ジュニア農芸化学会」では、全国50の高校から271名の発表者を会場の川内北キャンパス体育館に迎えて80題のポスターが展示された。高校生の熱心な発表と大会参加者との活発な質疑応答に会場も大いに賑わった。投票の結果、金賞1件、銀賞と銅賞各2件が選ばれた。今回の大会が被災地 仙台での開催ということで、本学会の被災地理科教育支援事業(「復興応援キリン絆プロジェクト」後援)の支援で、岩手・宮城・福島の被災3県から9校(生徒35名、引率教員6名)をジュニア農芸化学会に招待した。招聘校による12題の発表があり、発表終了後には支援目録の贈呈式も行われた(発表校9校に加え、目録贈呈式のみ参加7校)。被災の困難さを乗り越えて発表する招聘校の生徒達の姿に、参加した他地域の高校生や学会員が励まされ、参加者全員が被災地の現状を理解し、継続支援の重要さを理解する機会となった。

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ジュニア農芸化学会の会場

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被災地理科教育支援校への目録贈呈式

今年度の大会は、公益法人化して2年目の大会であり、大きな変更点としては大会受付の電子化が行われた。事前登録によるクレジットカード決済を奨励することで、当日受付の軽減を図った。一部の招待者の受付の際に、例外的な取り扱いをする必要があり時間を要するケースもあって、御意見をいただいた。今回の経験をふまえて、次回大会までには電子化受付方式も成熟するものと思われる。一般講演の発表は、京都大会ではPC-プロジェクター方式であったが、今回の仙台大会では会場スタッフ人数の制約から書画カメラを採用した。会場に設置された書画カメラの性能が優れていたことから、発表は特に支障無く行われた。東北支部では学会員が広域に散らばっていることから、比較的限られた人数で大会準備をする必要があった。今回の大会運営は、公益法人化後の大会において、学会本部と実行委員会が緊密に連携して地方で開催する大会の在り方の先例になるものと思われる。大会参加者の皆様方からは大会会場・運営に関して概ね好評をいただき、実行委員一同、安堵した次第である。

最後にこの場を借りて、本大会を開催するにあたりご支援・ご協力を賜りました参加者の皆様方、多くの企業、大学、学会本部事務局の方々に厚く御礼を申し上げる次第です。

2013年度大会実行委員会総務
阿部敬悦、藤井智幸、仲川清隆、都築 毅