概要

日時 2012年11月7日(水)
学校 福島県立安積黎明高等学校
対象 2年生35名、教諭1名
テーマ 「植物の栄養の話」
講師 藤原 徹 氏(東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)
内容 私たちヒトは植物を直接間接に食べて生存している。では植物は何を,どのように食べているのか?土の、あるいは、肥料の何を食べているのか?私たちのようにおなかが空いたり、食べ過ぎたりするのか?そうならないようにどうしているのか?最近の研究から植物が巧みに栄養を感知して反応していることがわかって来た。本講演ではヒトを支える植物の栄養吸収や栄養に対する反応のしくみのお話し。
派遣報告 福島県立安積黎明高校は、2001年から男女共学化され、現在は全日制課程普通科8クラスを置いている。2011年3月11日に起きた東日本大震災の被害を受けて、一部の校舎が使用不能になったため、取り壊し・再建作業が行われており、創立100周年2012年には一部プレハブ校舎で代替されている。例年95パーセント近い生徒が4年生国公立大学に進学しており、おりしも安積黎明高校2年生は修学旅行の直後で、これから進路について考え直すひとつのきっかけとして、期待されていた。講義については、街路樹も、化学繊維も、空気中の酸素も、もとをたどれば植物のおかげ。植物は美しく、私たちの生活を豊かにする。と、まず植物科学の魅力に触れた。そして、「食物の栄養のはなし」を切り口に、メソポタミア文明が端緒となった農耕の「歴史」の話、食糧輸入に関わる「流通」システムの話、わたしたちが健康に食べるための「食育」の話、そして循環可能な地球「環境」についての話など、原子力発電とホウ素の話など、植物栄養学を起点にして多面的に話題を展開し、生徒の興味を集めた。高校の発展的内容もいくつか含まれ、授業で習った内容がどう社会・実世界とつながるのか分かって興味が増したという生徒も見られた。

出前授業を受けた生徒さんたちの率直な感想

  • はじめは難しくてついていけないかと不安でしたが、生物の授業で学んだ内容が関連していたので、とても興味深く聞くことができました。
  • 身近なことですら知らないことがたくさんあり、やっと学問の入り口に立ったばかりなのだということに気づかされました。
  • 今学んでいることは、将来大学などで研究をしたり専門知識を学ぶ上で基礎となる重要な学力・知識なのだと感じました。
  • 世界の人口は増加していて、食糧が足りず困っている地域がたくさんあって、それを解決するのが農学の研究なのだと感じました。
  • 植物が育ちにくい土壌であってもこの発見によってホウ素欠乏耐性の植物が開発できるようになって食糧生産の効率が上がって、助かる人が増えると想像するととても嬉しくなりました。
  • 農学部への進学を目指しているので、今日の講義は大学での勉強はどんな感じなのか知ることができ、とてもいい経験になりました。
  • 早く大学へ行って、自分のやりたい研究をやりたい!と思いました。
  • わたしたちは植物を摂取するが、その植物は何を食べているのかということは考えたこともありませんでした。

授業風景

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