理科実験プロトコル公開にむけて

日本農芸化学会
学術活動強化委員会

産業の世紀と言われた20世紀、人類は大地を切り拓いて食料を増産し、鉱物資源を採取し、科学技術を大幅に発展させて現在の豊かさを手に入れました。その反面、人口の増大と産業活動が徐々に地球をむしばみ、森林面積の減少、食糧危機、砂漠化、地球温暖化などの形で次々に深刻な問題を生んでいます。地球環境は限られたものであり、地球上で生き抜いていくために、こうした問題に対して真剣な対策が求められるようになってきました。21世紀は環境の世紀なのです。

食料もエネルギーも自給できない日本では、科学技術立国をめざす以外に選択肢がほとんどないのが実情ですが、中学生・高校生の理科離れが社会的問題となりつつあります。科学者・技術者をめざす人材を育成するために、中学生や高校生の理科に対する興味を喚起するにはさまざまな方策が考えられますが、面白い実験を体験することこそ何より有効な方策ではないでしょうか。

理科実験については、教科書や参考書のみならず熱心な教員のホームページなどにもさまざまな実験が紹介されています。しかしながら、実際に中学生や高校生に対して実験を実施するには、さまざまな準備が必要であり多大な労力が要求されます。安全性を確保した上で、誰がやっても実験がうまくいくためのコツなどのノウハウも重要です。さらに、実験の内容に対するさまざまな科学的疑問にも応えるものでなければなりません。

日本農芸化学会では、社会貢献事業の一環として、中学校や高等学校で比較的簡単に実施できる化学や生物の実験について、手順書であるプロトコルを学会ホームページにより公開する事業を開始することになりました。「安全に実施できる」、「実験材料が安価で簡単に手に入る」、「実験装置・器具は通常の高校にある、または家庭用品で代用できる」実験を紹介してゆく方針です。さらに、紹介している実験の多くには、中学校や高等学校で実施できる実験に加えて、その内容を科学的に裏打ちするために、高校レベルでは実施の難しい実験データを付加しています。付属実験のデータを含めてご活用いただければ幸いです。

実験プロトコルは、随時、増補改訂して公開する予定です。実験の内容に関する疑問や、新たな実験法の提案など、現場の教員からのご意見や感想をお待ちしております。興味深い実験については、学会員による追試・実験データの追加などを行って、学会ホームページに公開し、実験プロトコルの充実を図って行く予定です。