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4章 核酸

6.転写
【解説】
 DNAには、遺伝情報の単位である「遺伝子」が多数含まれています。しかし、これらすべての遺伝子が常時働いて、遺伝子情報に基づくすべてのタンパク質が常につくられているわけではありません。必要な遺伝子だけを、必要なときに、必要な部位で、必要な量だけ発現させる必要があるのです。そのため、タンパク質生合成を行う部分のDNAだけが伝令RNA(mRNA)に写し取られます。このステップを転写(transcription)といいます。
 mRNAは、DNAのアンチセンス鎖を鋳型として作られます。このとき鋳型鎖のGはC、CはG、TはA、AはUと対(つい)をつくるため、「…GCTA…」から写し取られるmRNAは「…CGAU…」となります。各遺伝子の上流には、RNAをつくる酵素であるRNAポリメラーゼが結合する部位である、プロモーターが存在しています。このプロモーター領域では、転写を促進したり抑制したりして、遺伝子の発現が調整されます。
 なお、遺伝子の必要部分のコピーであるRNAには、タンパク質合成に働くmRNAのほか、タンパク質にはならないものの真核生物の遺伝子発現制御に重要な働きをする、マイクロRNA(miRNA)などの非コードRNA(ncRNA)が含まれます。

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