日本農芸化学会2012年度大会開催にあたって

加納健司

2012年度大会実行委員長 加納健司

日本農芸化学会2012年度大会を開催するにあたり、一言ご挨拶申し上げます。

2011年度大会に引き続き、2012年度大会も京都にて3月22日(木)~26日(月)の5日間の日程で開催させていただくことになりました。本大会は仙台で開催することが予定されており、東北支部を中心とする多くの関係者により着々と準備が進められていました。

ところが、2011年3月11日に発生した東日本大震災により未曾有の災害がもたらされました。この緊急事情を鑑み、2012年度大会も京都で開催することが急遽決まりました。これを受け、京都女子大学の立地条件の良さと、2006年度大会でお手伝いいただいた礼節ある学生さんに対する強い印象から、2012年度大会の講演会場としては京都女子大学が最適であると判断しました。

この思いを大学にご説明し再度の開催をお願いしましたところ、大学の年次予定まで変更していただき、本大会開催にご協力いただけることになりました。この場を借りて京都女子大学の関係者の方々に心より御礼申し上げます。

大会初日の22日は、蹴上のウェスティン都ホテルで、各種授賞式、受賞者講演に引き続いて、同会場で懇親会を開催します。総会は同日開催とはせず、授賞式等は午後の開催となります。

23日~25日まで3日間は、京都女子大学のキャンパスにて、一般講演シンポジウム展示会ランチョンセミナー、ミキサー等を行います。引き続き25、26日には、若手研究者の交流との場として、Frontiresシンポジウムを京の街中の聖護院御殿荘で開催します。

農芸化学は「生命・食糧・環境」の幅広い領域で目覚ましい活躍をしてきておりますが、今回のシンポジウムでは、東北地方の一日も早い復旧や復興を願うとともに、その先を見据えた上での「農芸化学的新展開」について議論していただく場とするよう企画していただきました。

また、前回同様、一般講演課題からは「トピックス賞」を選定いたします。自薦方式となっておりますので、多数のご応募をお待ちしております。これまでは報道機関向けにトピックス集の冊子体を刊行してまいりましたが、本大会からは書式も新たな装いにて、Web上でPDF版を一般公開します。農芸化学の成果をより多くの方に知っていただけるきっかけになればと願っております。

口頭発表は、一般講演を含めすべてご自身のPCから液晶プロジェクターで映し出していただきます。同様の方式で運営した関西・中部支部合同大会(2011年10月開催)での経験も生かしながら、鮮明かつ迫力のあるご講演をしていただけるようお世話いたします。しかし、スムーズな運用には発表者全員のご協力が不可欠です。必ず、マニュアルに従ってPCを事前チェックしていただきますようお願いいたします。

また、要旨集も冊子体ではなくPDFとしてWeb配信することになります。これにより、講演要旨の紙面の増加と、図表、写真等の組み込みが実現され、情報の質と量を向上できます。一方では、 要旨PDFを高速にダウンロードするため、事前の参加申込を強くお薦めし、その料金も低く設定いたしました。また学会の裾野を拡充するために、学生の参加費も低く設定しました。

本会のもうひとつの特徴である「社会との連携」という観点では、2つの一般公開プログラムを企画しました。23日には、拡大サイエンスカフェ「京料理の挑戦:農芸化学とガストロノミーの融合」と称して、京都の老舗料亭料理人と大学研究者が、京料理を科学した成果を披露し、料理人の解説とともに参加者にその成果を試食していただきます。

また、24日にはジュニア農芸化学会において、全国から多数の高校生が集まり、幅広い領域の理科研究成果をご披露いただきます。優秀作品は表彰するだけでなく、本会会誌「化学と生物」でもご紹介させていただきます。

産官学を見据えた幅広い情報発信として、24日にはJABEEランチョンシンポジウム産学官学術交流委員会フォーラムを、 また25日にはIUFoST-Japanシンポジウムを開催します。さらに、前日の21日(木)の午後には、京都大学百周年時計台記念館において化学と生物シンポジウム「画像と音で探る食品の姿」を開催します。

最後に、本大会を開催するにあたって、多くの企業・団体からのご寄付、展示、ランチョンセミナー、広告掲載などご支援いただきましたことに対し、心から感謝申し上げます。大会での新規情報の発信と獲得の場を通して、大いに議論し、人の和を輪とする有意義な5日間となることを心から願っております。