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7章 植物の生活環

14.感染防御
【解説】
 植物は固定生活をしているため、病原菌や害虫から逃げることができませんが、これらの攻撃から身を守るために独自の防御システムを発達させています。この病害抵抗性には、葉の表面を固い組織で覆う、あらかじめ抗菌物質などを組織に蓄えておくなど、病原菌や害虫の侵入を防ぐ静的(受動的)抵抗性、病原菌の感染や害虫による摂食に対して体内に防御反応を誘導して被害の増大を抑えようとする動的(能動的)抵抗性があります。
 品種特異的抵抗性は、特定の品種が特定の病原菌レースに対して示す強い抵抗性で、抵抗性品種に特異的な1つ、あるいは少数の遺伝子によって支配されています。環境条件によって変動しにくく、真正抵抗性、垂直抵抗性とも呼ばれます。また品種非特異的抵抗性は、それほど強くない抵抗性ではありますが、効果の大きくない多数の遺伝子によって総合的に発揮され、菌のレースに作用されず安定です。しかし、環境条件によって変動することがあります。圃場抵抗性、水平抵抗性とも呼ばれます。

【用語説明】
病原菌レース
 たとえばイネいもち病菌の中には、感染するイネ品種が異なるものがあります。このように、病原菌の1つの種内に、作物の品種に対する病原性が異なる系統が存在する場合、それぞれの系統をレースといいます。

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