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19章 エネルギー資源とバイオマスへの転換

2.バイオエタノール
【解説】
 「バイオエタノール」とは、さとうきび、トウモロコシなどの農作物をアルコール発酵させることにより生産するエタノールです。その原理は通常お酒として飲むアルコールの製造と同じですが、自動車燃料などに利用するためには濃度を100%に高めなければなりません。バイオエネルギーの中でバイオエタノールは、自動車燃料への応用を中心に、化石燃料の代用品および地球温暖化対策の手段の1つとして特に注目されており、現在、多くの国で生産が行われています。
 バイオエタノールの生産プロセスは、バイオマス中のセルロースなどの多糖をグルコースなどの単糖に分解する糖化工程と、生成した単糖を微生物変換によりエタノールを生成する発酵工程の2つで構成されています。
 糖化工程には、硫酸を用いた加水分解による酸糖化法とセルラーゼという酵素を利用した酵素糖化法があります。これまで発酵の対象はグルコースなどの6単糖でしたが、近年のバイオテクノロジーの進歩によって、遺伝子組換え菌を用いて、これまで未利用であった5単糖のキシロースからもエタノールの生産が可能になりました。これによって生産コストの改善が格段に進みました。
 わが国において、ブラジルやアメリカに比べて農地面積が小さいことから、現在使用している化石燃料由来のエネルギーをバイオエタノールですべてを賄うことは不可能です。そこで現実的には、ガソリンに5〜10%の割合で混ぜることで検討されています。バイオエタノールもガソリンと同様に燃焼することで二酸化炭素を発生しますが、農作物は光合成の際に光エネルギーを使って、再び二酸化炭素を吸収・固定化します。このため、バイオマス由来の燃料の燃焼に伴って発生する二酸化炭素は排出量の合計に含まれないため、バイオエタノールを用いると二酸化炭素の大幅な削減が可能となります。

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