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7章 植物の生活環

2.植物ホルモン
【解説】
 植物ホルモンは、植物の特定の部位(たとえば、芽の先端)でつくられ、これらが植物体内を移行し(たとえば、茎を下降)、微量ながら他の部位(たとえば、下部の成長する組織)で生理活性を発現し、植物の生理現象を調節する物質と定義されています。最近では、植物体内を移行しなくても、つくられた場所で生理活性を示すものも、植物ホルモンと考えられています。この物質は、植物の成長促進・成長抑制、気孔開閉、花芽の形成、発芽、発根、屈性、老化など、植物の生活環を調節する活性をもっています。
 現在のところ、植物の細胞伸長を促進する物質として発見されたオーキシン、イネの若い茎を伸ばす成長促進物質として単離されたジベレリン、細胞増殖を促進する活性をもつ物質サイトカイニン、休眠や落葉誘導、生長抑制作用を示すアブシジン酸およびエチレン、さらに新規な植物生長促進作用を示すブラシノステロイドなどが、植物ホルモンとして認められています。
 オーキシンの活性の特徴としては、1)茎・芽の先端や葉で合成され、茎を下降して、下部の細胞を生長させる(細胞壁の伸長を促進)、2)下降する際に、光の方向と反対側に偏って流れ、茎は光の方へ曲がって生長する、3)同濃度でも、茎が一番反応して生長が促進されるが、高濃度だと芽や根の生長は阻害される、4)側芽の生長を阻害する、5)果実の肥大を促進、6)落葉・落果を抑制――などがあげられます。
 ジベレリンの活性の特徴としては、 1)若い茎の細胞の生長を促進し、丈を高くする、2)雌しべの下の子房の細胞分裂を促進する、3)休眠を解除したり発芽を促進する、4)花芽を形成する――などがあげられます。

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