2024年度大会実行委員長
東原 和成

日本農芸化学会は2024年に100周年を迎えます。初代会長は、ビタミンB1の発見者である鈴木梅太郎先生で、化学と生物の融合領域で、社会に貢献する農学基礎研究を推進する研究者の集まりとして、最大規模の学会として発展してきました。現在、SDGsといった世界規模の課題が問われていますが、以前からいち早く取り組んできたのが農芸化学の分野といっても過言ではありません。

創立100周年記念となる2024年度大会の開会の前に、まず2024年3月23日に記念式典を東京大学駒場キャンパスで行います。駒場キャンパスの博物館では、農芸化学100年の歴史の展示会を同時開催します。それに引き続き3月24~27日の4日間で本大会を東京農業大学で行います。この数年間、Visionary農芸化学100シンポジウムや分野融合連携シンポジウムなど、学会は創立100周年に向けて様々な活動をしてきましたが、本大会はその集大成とでも言えるもので、Withコロナの時代に突入した今、基本的には対面の大会を予定しております。

本大会のコンセプトは、農芸化学分野の「これまでの農芸化学研究の100年を振り返って、これから100年の農芸化学研究を展望する」で、温故知新の精神で大会の企画準備を進めています。内容としては、過去の大会と同様に、農芸化学会の売りの一つである一般口頭発表を行います。また、農芸化学レジェンドに100年を振り返りながら語っていただくシンポジウム「これまでの農芸化学研究の100年を振り返って」(式典の方では学会の変遷と歴史を、本大会では研究を中心に初日に)、これからの100年を現役若手に語っていただくシンポジウム「これから100年の農芸化学研究を展望する」を最終日に開催します。農芸化学という学問分野を俯瞰できるような教育講演を毎朝軽食とともに企画します。

そして最大の売りは、「食」をキーワードとする学会に相応しく、食の二次機能を堪能して美味しく飲食しながら談話するsocial gatheringです。農芸化学出身の醸造家たちとともに、日本ワイン、日本酒を味わい、それらとマリアージュする料理を楽しみます。古典的な懇親会は行わず、Withコロナの時代に合わせた新しいスタイルの「対話の場」を提供します。また、「農芸化学を体感する」新企画がありますので楽しみにしていてください。

生活に密接に結びついた農芸化学という学問分野の楽しさと将来を語る数日間となることを願って、組織委員全員が全力で記念大会を準備いたします。他分野の研究者にもお声がけいただき、学生達とともにご参加いただき、対面で皆様方とお会いできることを願っております。