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1 章 アミノ酸・ペプチド・タンパク質

4.光学異性体と特殊な例
【解説】
●光学異性体
 2つのアミノ酸が互いに鏡に映った構造になっているものを「光学異性体」と呼びます。アミノ酸の中心に存在する炭素原子には4つの異なる原子団が結合しており、このような炭素原子のことを「不斉炭素原子」と呼びます。不斉炭素原子が存在する場合、L体、D体に区別される光学異性体を生じます。アミノ酸を化学合成すると、L体とD体が混合したもの(ラセミ体)が得られますが、生物が生合成する場合はL体のみが合成されます。

●D型アミノ酸を含む特殊な例
 自然界に存在するアミノ酸の大部分はL型ですが、例外も多く存在します。たとえば、細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)では、構成するアミノ酸の中にD-グルタミン酸とD-アラニンが含まれています。細菌は生合成したL-アラニンやL-グルタミン酸を、ラセマーゼという酵素の作用でD型に変換し利用しています。非天然型のアミノ酸を利用することにより、分解されにくい構造を保つためと考えられています。

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