概要

日時 2013年3月18日(月)15:15-16:05
学校 会津若松ザベリオ学園中学・高等学校
対象 高校1年 特進クラス68名、高校2年 特進クラス37名、高校2年 総進クラス3名、中学1年 6名、中学2年 7名、教職員 8名程度
テーマ 「研究の楽しさ、生物の楽しさ、香りの楽しさ
講師 松井 健二 氏(山口大学大学院医学系研究科(農学系) 教授)
内容 大学ではどのように研究が進められるのか、について農芸化学関連の事例を説明しながら紹介した。また、講師が研究している香りの機能解明に関する例も織り交ぜた。
概略
  • 研究の出発点は「なぜ?」と思う気持ち。
  • 永遠の5歳児の気持ちをもち続ける。
  • 大発見の素材は身の回りにたくさんある。
  • フレミングの発見(ドラマ「仁」のペニシリン)。
  • カイコの食性(お腹がすいてもトマトの葉を食べない)の動画。
  • 実際に匂いを嗅いでみる。
報告 会津若松市は福島県でも内陸なので比較的被害が少なかったようですが、やはり大きな揺れで器具等の破損があったようです。当日は受け入れの先生が多くの生徒さんを集めて下さり、130名相手に講堂での出前講義となりました。
講義の中ではまず、農芸化学について説明し、その後、雑菌が生えたプレートにできた阻止円を見てもらいました。さすがにそのままでは阻止円の意味は分からなかったようですが、ペニシリン発見の経緯を話すと、少し前のテレビドラマ「仁」で聞いた話だということで身近に感じてくれたようです。フレミングのPrepared mindの逸話も紹介し、観察できる現象の中に「なぜ?」を感じることで研究がスタートする、という話を紹介しました。 
その後、匂いの研究について紹介しましたが、その際もクワを食べるカイコと、お腹がすいているのにトマトを食べないカイコの動画を見てもらい、そうした食性の違いがどうして生まれたのか、どのように維持されているのかについて今考えられていることについてお話ししました。
最後に実際にマツタケの匂いを嗅いでもらい、なぜマツタケはこうした匂いを出すのか、なぜこれを人はマツタケの匂いと感じるのだろうか、と考えることが研究の出発点となると紹介しました。その上で、子供向けテレビアニメの主人公のように「永遠の5歳児」になって「なぜ?」と疑問をもつことが大切だと伝えました。
最後の質問の時間では非常に積極的に質問してくれました。文系を志望する生徒さんも多かったのですが、データではなく、画像(動画)ベースで話をするように心掛けたことで多くの生徒さんに興味を持ってもらえたようでした。

授業風景

写真

出前授業を受けた生徒さんたちの率直な感想

  • 傷んだ植物のキノコのような臭気はインパクトがありすぎた。
  • 「香り」についてのことは聞いていてとにかくおもしろかったです。
  • 今まで「何でこの植物にこんなに虫が集まっているのだろう」と思っていた疑問がなくなりました。
  • すごいおもしろくて聞きやすい授業でした。
  • 農芸化学の楽しさを知りました。農業のイメージが強かったのですが、実験や研究など楽しそうだなと思いました。
  • ラベンダーの香りは逆に食欲を増す効果があるというお話に興味を持ちました。
  • 植物や生物も匂いとすごく関係があると知ったのは初めてでした。
  • 寄生蜂が50M先の匂いをかいで産卵をしに行くのは正直とても驚きました。研究をしてみたいです。
  • 文系ですが、理系の人がうらやましく思えるような授業でした。
  • 普段当たり前のように受け流していたことも、化学の視点からみると終わりがありません。
  • 「理学」「化学」などの分野が理系にはあることは知っていましたが、いったいどういうものなのか、今日の授業でピーンとくるものがありました。もやもやが晴れたような気がします。
  • カイコの実験はとてもおもしろく興味深かったです。
  • スポーツをしていますが、緊張を解く対策として匂いを嗅ぐことも一つの対策だなと思いました。
  • なんでもいいから興味を持って調べることが大発見につながるのだなぁと思いました。
  • 植物が虫に食べられると強いにおいを発するということに驚きました。