報告

2015年1月28日(水)、東京農工大学 府中キャンパス 多目的講堂にて、さんわか第23回ワークショップ「食糧問題に挑む農芸化学者たち」を開催いたしました。
味の素株式会社 五十嵐大亮先生、独)農業生物資源研究所 内藤健先生、独)理化学研究所 関原明先生、東京農工大学 豊田剛己先生、以上4名の先生方をお迎えし、ご講演いただきました。

五十嵐先生からは、アミノ酸発酵生産より得られる発酵副生液の農業資材としての活用方法から、植物の病害抑制効果など発酵副生液の持つ特徴的な機能のメカニズムの解明まで、わかりやすく説明していただきました。

内藤先生からは、アズキの仲間であるVigna属の多様性についてユーモアを交えて紹介していただきました。塩性土壌、乾燥地など、厳しい環境で生存するVigna属の多様な適応戦略を解明し、応用すべく、最新の植物ゲノム解析技術を駆使した研究アプローチを詳細に解説していただきました。

関先生からは、重要な炭素資源作物であるキャッサバの分子育種について、研究内容を詳細に解説していただいただけでなく、コロンビア・タイ・ベトナムなど海外の研究機関と連携して研究を進めておられる様子についてご紹介いただきました。

豊田先生からは、農薬に頼らない土壌病害対策方法の開発について、農薬を多用することの弊害を紹介していただいた上で、環境に負荷をかけない土壌妨害防除や減農薬のための生物診断などの取り組みを分かりやすく説明していただきました。

以上4題のご講演から、食糧問題に対する農芸化学者の取り組みについて、幅広い観点で勉強することができました。当日は約30名の方にご参加いただき、講演後の質疑応答では活発な議論が交わされました。また、技術交流会では講師の先生方や参加者と意見交換が行われ、親睦を深めることができました。
今回のワークショップを通して、食糧問題が解決しなければならない人類の命題であることを改めて認識するとともに、農芸化学者が担う役割の大きさを感じました。本ワークショップが、食糧問題の解決に向けてどのように貢献していくべきか、皆さまが考察を深める一助になれば幸いに存じます。ご多用の中ご講演を引き受けてくださいました講師の先生方、ならびにご参加いただきました皆様には改めて御礼申し上げます。
農芸化学分野の研究・交流活動が益々発展していくことを祈念しております。今後ともさんわか活動にご協力・ご参加いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

講演風景

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概要

タイトル 「食糧問題に挑む農芸化学者たち」
主催 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか)
開催趣旨 世界の爆発的な人口増加に伴い、現在の地球的規模での問題である食糧問題がさらに深刻となっていくことが推測されます。この問題の解決のため、世界に安全で美味しい食を提供することに挑んでいる農芸化学者からご講演を頂き、将来に渡って豊かな食生活を確保するために今何をすべきかを活発に議論したいと考えております。
日時 2015年1月28日(水)12:30~ 受付、13:00~ ワークショップ、17:30~ 技術交流会
会場  東京農工大学府中キャンパス 2号館1階多目的講義室
(京王線「府中駅」下車、バス約7分 または JR武蔵野線「北府中駅」下車、徒歩約12分)
講演者 味の素株式会社 五十嵐大亮 氏
独立行政法人農業 生物資源研究所 内藤健 氏
独立行政法人理化学研究所 関原明 氏
国立大学法人東京農工大学 豊田剛己 氏
プログラム 「食糧問題解決を目指した農業資材開発」
味の素株式会社 五十嵐大亮 氏

「Genus Vigna – the Wild and Sexy –」
独立行政法人農業 生物資源研究所 内藤健 氏

「最先端科学技術を用いたキャッサバ分子育種の推進」
独立行政法人理化学研究所 関原明 氏

「食糧問題解決の一助となる土壌病害対策とその診断」
国立大学法人東京農工大学 豊田剛己 氏
参加費 ワークショップ参加費:無料
技術交流会参加費:4,000円
参加申込 件名を「ワークショップ参加申し込み」とし、
・氏名
・所属
・連絡先メールアドレス
・交流会参加の有無
をE-mailにて、下記のアドレスへご連絡ください。

※申し込み先着順で定員に達し次第、締め切りとさせていただきます。
※お申込みいただいた個人情報は、参加確認および今後のさんわかワークショップご案内以外の目的には使用いたしません。
問い合わせ先 株式会社カネカ 鷲田元久  (さんわか幹事)
E-mail