報告

令和6年7月3日~5日に北海道を訪問し、北海道大学でさんわか×北大ミニセミナーの開催、また、産総研北海道センター様およびアイビック食品株式会社様の見学を行いましたので、以下にその内容をご報告いたします。

さんわか × 北大ミニセミナー

令和6年7月4日の午後、北海道大学農学部にて、「産学官の現場から語る研究者のリアル」と題するセミナーを、さんわかと北海道大学大学院農学研究院およびDEI推進室との共催で開催いたしました。このセミナーは、大学生や大学院生に研究職について身近に感じてもらうことや、キャリア形成の参考となる情報を提供することを目的とし、北海道大学農学院に所属するユニークなキャリアパスを持つ教員にご講演いただきました。また、首都圏から遠く、対面での交流が難しい北海道大学の学生に対して、日本農芸化学会やさんわかメンバーの研究活動を紹介しました。

  • セミナーの前半では、北海道大学農学院からは佐分利先生と逢坂先生が、さんわかからは東京工業大学の永嶌氏と京都大学の白石氏が登壇しました。企業から大学に戻ってからの研究活動や、育児と研究の両立の現実、国連での経験を元にした研究キャリアなどについて話しました。
  • セミナーの後半では、さんわかから農研機構の石川氏、協和発酵バイオの佐藤氏、キッコーマンの小泉氏、味の素の小野氏が登壇しました。彼らは学生時代の経験から企業での研究活動まで幅広く語り、学生だけでなくさんわかメンバーにとっても有意義な時間となりました。
  • 終了後のアンケートでは、本セミナーに対し高い評価をいただきました。北海道大学農学部ご所属の先生がたの広報活動のおかげで、当日は約60名の方々が会場に集まり、休憩時間やセミナー終了後も学生からの質問が絶えませんでした。参加者には大学院生だけでなく、研究室所属前の学部3年生や4年生も含まれました。今後の研究活動やキャリア形成の参考にしていただけたらと思います。

ご多忙の中にもかかわらずご講演いただいた北海道大学の佐分利先生、逢坂先生、そして共催していただいた北海道大学農学部 石塚先生、崎浜先生、そしてご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

       

       


産総研北海道センター様 見学

令和6年7月3日の午後、産業技術総合研究所北海道センターを訪問し、「生物プロセス研究部門」および「エネルギープロセス研究部門」の研究内容についてご紹介頂きました。さらに、植物工場やメタンハイドレート研究設備など、最先端の研究施設を見学させて頂きました。 以下訪問の概要になります。

  • 植物分子工学研究グループの光田展隆副研究部門長からは、植物バイオマス産生や有用物質生産について詳しくご説明いただきました。特に、遺伝子組換えによってインターフェロンを発現させたイチゴの開発についての話が印象に残りました。植物工場の見学では、広大なスペースに多様な植物が栽培され、実験の様子を間近に感じることができました。
  • 生体分子工学研究グループの羽田沙緒里主任研究員からは、食物に含まれる核内受容体の天然物リガンドと、アルツハイマー病に有用な食品中の成分の研究についてご説明いただきました。特に、ジャガイモの品種によって活性化する核内受容体の種類に違いがあることを興味深く伺わせていただきました。当該技術を用いた受託サービスも実施されており、地域食材の付加価値の創出にも貢献されています。
  • エネルギープロセス研究部門の長尾二郎副研究部門長からは、メタンハイドレートの回収技術やCO2の地層固定技術についてご紹介頂きました。目の前で貴重なメタンハイドレートに火をつけてくださり、「燃える氷」を目の当たりにすることができました。また、メタンハイドレートを含む堆積物を低温、高圧下でサンプリング、解析する世界最高水準の施設も見学させて頂きました。

       


アイビック食品株式会社様 見学

令和6年7月4日、北海道札幌市のアイビック食品株式会社を訪問し、会社の概要をご紹介いただいた後、生産工場やアイビックフーズラボ、GOKAN北海道みらいキッチンを見学させていただきました。以下、訪問にて伺った内容を簡単にご報告いたします。

  • アイビック食品株式会社は北海道札幌市を拠点とするたれ・だし・スープの製造販売を主事業とする食品メーカーです。OEMでの製造が9割を占めており、200キロを最小単位とする少ロットでの多品種製造が可能な生産体制が特徴とのことでした。
  • アイビックフーズラボ(本社敷地内に併設)では各種商品の開発をオープンな空間で推進していました。プロトタイプの試作と評価のサイクルを高速で回すことで、スピーディーな開発を可能としているとのことでした。
  • GOKAN北海道みらいキッチン(本社敷地内に併設)は、2021年に「北海道の食のDX拠点」として設置されました。ライブコマースにも使用できるキッチンや商品の撮影に使えるスタジオのほか、香り噴射装置やデジタルサイネージをはじめとした五感に働きかける多種多様な設備を備えています。
  • GOKANの設備は、取引先は無料で使用できるとのことでした。売り場が限られる個人飲食店などのOEM製品の販路拡大に向けた広告・宣伝への活用が期待されています。

    


おわりに

今回のミニセミナーや施設見学を通じて、普段は対面での交流が難しい北海道の研究開発に携わる多くの方々と交流を深めることができました。さんわかメンバー一同は充実した時間を過ごし、今後のさんわか活動の方針を考える絶好の参考になりました。この場を借りて、北海道大学農学院、産総研北海道センター、およびアイビック食品株式会社の皆様に深く御礼申し上げます。今後もさんわか活動へのご協力・ご参加を心よりお願い申し上げます。

さんわか11期 一同

概要

タイトル 「産官学の現場から語る研究者のリアル」
主催 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか)
共催 北海道大学大学院農学研究院、北海道大学農学研究院DEI推進室
ポスター

さんわか×北大 ミニセミナー ポスター(PDF)

開催趣旨 アカデミア、公的機関そして民間企業において多様なキャリアを歩む、農芸化学分野で活躍中の現役若手研究者に、経歴や進学・就職に至るまでの道のり、学生当時の研究、そして現在の仕事や生活などについてお話いただきます。
質疑応答や自由交流の時間も設けております。色々な立場の研究者と直接お話することが、皆さんの可能性を考えるきっかけになれば幸いです。研究分野に関わらずお気軽にご参加ください。事前質問もお待ちしております。
日時 2024年7月4日(木)14:00~17:00(予定)
開催方法 オンサイト
会場 北海道大学 農学部 本館 N31教室
アクセス JR札幌駅より徒歩13分、札幌市営地下鉄「さっぽろ駅」より徒歩15分、
「北12条駅」より徒歩11分
プログラム 14:00
開会

第一部 「アカデミアの先生方による研究紹介」(14:00~15:05)

14:05~14:20
「産と学での糖質と酵素の研究開発」
佐分利 亘 氏(北海道大学大学院農学研究院)

14:20~14:35
「匂いと育児と輸送体」
永嶌 鮎美 氏(東京工業大学生命理工学院)

14:35~14:50
「『研究×子育て』両立への挑戦」
逢坂 文那 氏(北海道大学大学院農学研究院)

14:50~15:05
「食料安全保障達成に向けて-アカデミアでの研究と国連での活動」
白石 晃將 氏(京都大学大学院農学研究科)

15:05~15:30
全体質疑、歓談および休憩

第二部「農研・企業による研究紹介」(15:30~17:00)

15:30~15:45
「国立研究開発法人(農研機構)の研究活動~食品の機能性研究を例に~」
石川 千秋 氏(農研機構食品研究部門)

16:00~16:15
「協和発酵バイオの研究開発~北大OBによる微生物発酵~」
佐藤 芳郎 氏(協和発酵バイオ株式会社)

16:15~16:30
「キッコーマンの研究開発 ~おいしさ研究を例に~」
小泉 太一 氏(キッコーマン株式会社)

16:30~16:45
「味の素(株)バイオ・ファイン研究所におけるR&D紹介 ~酵素関連技術を例に~」
小野 拓人 氏(味の素株式会社)

全体質疑
閉会後に自由に歓談、交流
 
参加費 無料
定員 80名
参加申込 お申込みは参加申し込みフォームからお願い致します。
申込締切

2024年6月28日(金)12:00
※当日参加も可能

※参加人数や事前質問の把握のため申し込みをお願いしておりますが、当日参加も可能です。直接お越しください。

問い合わせ先 日本農芸化学会 産学官若手交流会(さんわか)
sanwaka.jsbba●gmail.com
(「●」を「@」に変換して送信してください)